遺伝学雑誌
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ÜBER DIE BESTÄUBUNG UND BEFRUCHTUNG BEI GINKGO BILOBA L
Tamaki SHIMAMURA
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1935 年 11 巻 3 号 p. 180-184

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抄録
公孫樹は雌雄異株にて授粉は風媒に依る。授粉したる雌花は約四ケ月後初めて授精するものなり。今囘 (1) 花粉の影響無くもよく結實する “Parthenokarpie” なる現象ありや, (2)花粉よりの或刺戟が雌性配偶體内に於ける發育(特に藏卵器の形成の如き)に必要なりやに就き調査せり。その結果公孫樹に於ても蘇鐵類植物と同樣に花粉よりの或る刺戟が雌性配偶體に影響して雌性配偶體を發育せしむるものなりと思惟するに至れり。授精現象に就いては特に癒合核内にて雄核がその核膜を失ふ前後に仁に似たる多數の顆粒が示す行動に就て述ぶ。即ち雄核が卵核に癒着する以前より卵核中に若干の仁に似たる染色性顆粒あり。雄核が卵核内に入る頃には該顆粒はその數を増加して核内の一方に集合する。この癒合核の顆粒の偏在する現象と雄核との關係を見るに雄核が核膜を有し明瞭に輪廓を見らるゝ間は顆粒は雄核に接して存すること少く離れて存在し雄核がその形を失ふて卵核質中に混ずる際に該顆粒は雄核質に向つて著しく集合する。癒合核の第一囘核分裂の際には該仁樣顆粒の集合は全く見られぬ。目下染色體形成と該顆粒とは如何なる關係にあるか不明なり, 因に該仁樣顆粒はヌクレアル反應に對しては負反應なり。(昭和十年四月廿六日日本遺傳學會東京談話會講演)
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© The Genetics Society of Japan
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