抄録
I. 本研究は189組の双生兒並びに一般家族520人に就ての調査である。掌紋の脈數とは示指, 中指, 環指, 小指の下にある四つのデルタ間の脈數を夫々數へ, 之を合計したものである。
II. 一卵性双生兒の一組毎の兩掌間, 若くは左右別掌間脈數の相關係數は同一兒の左右掌間の相關係數にほぼ等しく, 0.9許である。之に反し二卵性双生兒に於ては同一兒の左右掌間の相關係數は0.9に近きも, 同組兩兒の兩側間又は兩掌間に於ける相關値は0.5-0.6に過ぎない。
III. 家族間の各人の掌紋の脈數に依りて描いた變異曲線は normal polygon に近い。此事實より考へる時は, 掌紋の脈數は明かなる優劣の關係にあらざら同義因子(multiple factors)により決定せられるものらしい。