遺伝学雑誌
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アナナス猩々蠅の第2染色體に於ける交叉の増進
森脇 大五郎
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1940 年 16 巻 2 号 p. 37-48

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抄録
アナナス猩々蠅に於て交叉を高める或る特殊遺傳子の存在することに就ては, 既に著者の發表 (森脇1937a, 1937b) があるが, その後調査を進めた結果訂正を要する點や新たな事實を得たので茲に其等をまとめて前論文の續報とした。内容の要點は次の樣である。
1. 第2染色體の一優性遺傳子Minute-IIb (M-IIb) はその染色體に於ける交叉増進力に何等かの關係を持てゐるらしく思はれたが, 其後の調査の結果それとは別個のものと考へられるに至つた。即ち交叉増進力を有するものは同じく第2染色體に屬する別の一優性遺傳子Enhancer-II (En-II) であると思はれる。尚M-IIbの座は左腕であるとされてゐたが之も訂正されてEn-IIと共に右腕にあることが分つた。
2. このEnhancer-IIは第2染色體に働いて雌に於ける交叉を或程度高めるばかりでなく, 雄に於ける交叉をも惹起せしめる力を持てゐる。その結果としてこの遺傳子が存在さへすれば常習的に雄の交叉が生ずるのである。
3. 上述の如くM-IIbEn-IIは第2染色體の右腕にあることが分つたが, 著しいことには之以外に知られてゐる約20程の第2染色體のミユータントはすべて左腕にその遺傳子を持てゐると考へられるのである。併し唾腺染色體から判斷した丈では右腕が殆ど遺傳子を持たないとか無力であるとか等とはいへないので, 恐らくは右腕が特に突然變異に對して抵抗性が強いのではないかと思はれる。
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