抄録
1) 8-, 9-染色体ライ麦の起原に関して, 核形態学的に論じた。
2) 朝鮮ライ麦No.1の品種は2n=14をもち, ライ麦核型中の第III型たるa2d1の型を示すも, 時に2n=16の個体が発見され, その場合は14本の正常な染色体の他に, 1対の断片染色体が区別される。(a2d1x型)。
3) 断片染色体は狹窄部における横断によらずして, 長形染色体の長腕部において切断したものである。しかして長さの測定結果, 第2染色体 (b) に由来することが分つた。
4) 朝鮮No.2品種においては, 観察全個体に2n=18が見られ, この場合はa2染色体の重複の他に, さらに断片染色体が1対ある (a2a2d1x型)。
5) 以上により8-, 9-染色体ライの起原に, 重複と断片の両者のあることが明かになつた。
6) ライ麦の核型は, 先に発表したa1d1, a1d2, a2d1, a2d2およびa3d2の5型のほか, さらに本報告で明かにしたa2d1xおよびa2a2d1xなる2型があることが分つた。