抄録
(一) 植物の種類により單位として顆粒の大さ、一核内にある顆粒の數は異る。
(二) 減數分裂の中期に於けるクロモメアーは螺旋絲の上に不規則な間隔を以て配列されてゐる樣に思はれる。
(三) 螺旋絲の coil の卷く樣式 (卷く方向、coil の太さ、卷き數等)は一つの個體の染色體では分裂の定つた時期に於てはほゞ一定してゐる樣に思はれる。そして著者の觀察した材料では一つの細胞内の染色體に左卷右卷の兩者のあることを確かめ得た。
(四) 染色體の constriction のある場所では螺旋絲が延ばされてゐるのではなく全く連絡を斷たれて居り、その部分は染色體の基礎コロイドによつて連絡が保たれ、兩部分が離れずにゐるのではないかと考へられる。
(五) 染色體の構造は次の四つの要素から成つてゐる樣に思はれる、即ち、(1) 染色體膜 (2) 螺旋絲 (3) クロモメアー (4) 保護コロイド (或は基礎コロイド)。