METZ等の Sciara に於ける研究から今迄に分つた事は大體前述の如くである。今其等を再び總括すれば次の如く云へやう。
(1) 雄には雌の有する染色體の外に二個餘分の限性染色體を含み、精蟲は必ず此の限性染色體を含む。
(2) 精蟲の生成に當つて、其の中に含まれる autosome は必ず雌から由來したものである。
(3) 雌の中には雌ばかり産むものと雄ばかり産むものの二種類がある。時として兩方の性を與へるものもある。雌許り産む者は雄許りを産むものと異る或る特殊の性染色體X'を含んでゐる、即ち雌性産の雌雄はX'X, 雄性産のものはXXで表はされる。
(4) 雄はXY型であり此のXは雄性産の雌に含まれるXと同一のものである。
(5) XX間の乘違は起り得るも, XX'間は全く起らぬか或は極めて稀である。
抄録全体を表示