損害保険研究
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<研究ノート>
貿易取引における債権リスクとその回避策
-銀行業務と保険業務の業際的手法-
西口 博之
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2014 年 76 巻 1 号 p. 109-132

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抄録

 我が国の貿易取引における代金決済方法は,従来その大半が信用状決済であったが,昨今貿易取引の形態・内容がグループ内取引の増加などにより変化するに伴い,その代金決済方法も送金・相殺などが多くなり,信用状の使用比率が20%見当と低下している。

 また,その物流面でもコンテナ船の普及により中国など近距離航路ではB/Lの買主への到着が銀行経由では本船の到着よりも遅れ,その回避策として,信用状決済のもとでもB/Lの保証渡し,サレンダーB/Lなどが商慣習となり法的問題を残す結果となっている。

 このため,B/Lを買主宛てに直送できる国際ファクタリング・銀行支払保証・輸出取引信用保険など新しい代金決済方法が注目を浴びている。

 これらの新しい債権リスク回避策は,いずれも従来の信用状に取って替わることのできる代金回収策であり,かつ従来の銀行業務になかった保険業務の分野にまで踏み込んだ業際的な債権リスク回避策ともいえる。

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