2014 年 76 巻 1 号 p. 133-147
自動車事故の治療費で,第三者行為災害として扱われ,保険会社・共済が社会保険から求償を受ける事案が少なからず存在する。社会保険の求償の内容,求償対象期間は個別の事案ごとに交渉,決定されているが,歴史的には人身傷害補償保険,介護保険の登場により量的,質的な影響を受けてきたと考えられる。更には昨今の超高齢社会の進行による疾病構造の変化や,社会保険の保険財源の逼迫の影響も受ける中で,損害賠償用語として用いられている「症状固定」と「求償対象期間」の考え方についても従来慣行のままとすることが難しくなってきている。