人身傷害補償保険は,既存の商品にない特長から消費者の注目を集めたことや,自動車共済・保険会社各社ともにその販売に重点を置いてきた結果,自動車共済・保険に対する付保割合が今日,非常に高くなっている。その結果,人身傷害補償保険に関する判例を判例データベース(判例マスターWestlaw Japan,判例システムVSバーション2015年下期[自動車保険ジャーナル]を利用)から抽出した平成13年から平成27年までの人身傷害補償保険に関する判例(176判例)を分析し,人身傷害補償保険に生じている問題点(主に代位取得する損害賠償請求権の範囲に関する)を明らかにし,法的構成について検討した。また,損保・共済各社の約款から商品の問題点を指摘した。