損害保険研究
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<研究論文>
高度自動運転車の運行に係る制度整備課題
―ドイツ道路交通法との比較法的検討―
金岡 京子
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2018 年 80 巻 3 号 p. 41-78

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抄録

2018年4月に公表された自動運転に係る制度整備大綱は,従来型の車両と自動運転システム搭載車両が混在し,かつ,自動運転車の割合が少ない,いわゆる過渡期を想定した法制度整備課題を示している。2018年9月には,制度整備大綱に基づき,レベル3およびレベル4の自動運転車が満たすべき安全性に関する要件や安全確保のための方策に関し,安全技術ガイドラインが策定された。

ドイツにおいても,2017年6月に,ウィーン道路交通条約と整合したレベル3およびレベル4の自動運転車の運行許可要件,自動運転中に運転者に認められた運転以外の行為,運転者に課せられる新たな注意義務,自賠責保険の上限額の引き上げ,事故時の被害者等へのデータの引渡し義務等を定めた法改正が行われた。本稿は,安全技術ガイドラインと上記ドイツ道路交通法,および制度整備に関する保険者の見解等について比較法的検討を行い,今後日本において自動運転車の安全かつ安心な運行を実現するためには,ドイツと同様の法整備および求償のしくみを構築することが必要となることを明らかにした。

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