抄録
昨今,観光産業の中でも,自然が注目されており,「持続可能な観光」の実現に向けた体制整備が急務となっている. 本稿では,国立公園を有する地域に着目し,観光地域づくりを行う舵取り役であるDMOが,利用と保全の両立に取り組む上で多様なステークホルダーと合意形成する際の参考となるモデルの提示を目的として,研究を行った.研究方法は,国立公園を対象に,観光・環境・行政の各指標間の因果関係について,回帰分析を用いて定量的に示したSDモデルの策定を試みた. 研究の結果,収集可能な既存データでは,本モデルを構築するには不十分であること,本研究で新たに加えた環境指標においては,定量的な変化が少ないことから,他指標との関連性を示すことが難しいことがわかった.