痛風と核酸代謝
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原著 1
一般中学生の高尿酸血症と生活習慣病との関連
本郷 実日高 宏哉阪口 しげ子市川 元基池田 宇一田中 直樹鶴田 悟郎小池 健一
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2009 年 33 巻 1 号 p. 17-26

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抄録

【目的】近年,成人では高尿酸血症はインスリン抵抗性,動脈硬化,高血圧,心不全,心血管疾患発症などとの強い関連性が示唆されている.一方,小児では血清尿酸値と生活習慣病との関連を示す報告は少なく,心血管疾患発症,予後との関係は明らかにされていない.今回,一般中学生における高尿酸血症の頻度および高尿酸血症と生活習慣病との関連について検討した.
【方法】対象は2005年4月から2007年6月の間に調査した長野県内3つの中学校に在籍する生徒600名(12.1〜15.0歳,男333名,女267名)で,研究計画を説明して生徒,保護者から同意書を得た後,学校健康診断の際に身長,体重,腹囲,血圧測定,血液生化学検査を実施した.
【結果】1.高尿酸血症の頻度:男子の血清尿酸値は女子に比較して有意に高値を示し(5.50±1.09mg/dL vs 4.43±0.95mg/dL,p<0.001),無症候性高尿酸血症が男子32名(9.6%),女子2名(0.7%)にみられた.2.年齢別,男女別血清尿酸値:いずれの年齢でも男子が有意に高値を示し,年齢が上昇するに連れて男子では増加傾向が,女子では低下する傾向がみられた.3.高尿酸血症と生活習慣病の関連:高尿酸血症を呈した34名中,単独の異常を示したのは14名でいずれも男子であり,他の20名(59%)は肥満,高血圧,脂質異常症,空腹時高血糖などの生活習慣病を伴っていた.これら4項目の内2項目以上を合併するリスクを検討した結果,高尿酸血症を呈した男子は尿酸値が基準値を示した男子に比較して,オッズ比5.74(95%CI:2.16-15.26,p<0.01)を示した
【考察】一般中学生,特に男子生徒において,血清尿酸値は生活習慣病の存在と密接な関連を有していることが明らかとなった.以上より,本研究結果は小児生活習慣病予防の教育プログラムの開発に有用と考えられる.

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© 2009 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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