痛風と核酸代謝
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原著 1
高血圧患者における高尿酸血症の病型分類:簡便法の有用性について
大田 祐子土橋 卓也
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2011 年 35 巻 2 号 p. 169-174

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抄録

高尿酸血症の病型を分類することは,患者個人に合った治療法を選択する上で有用であるが,24時間法や60分法による評価の実施は容易ではない.そこで簡便法としての随時尿中尿酸/クレアチニン(UUA/UCr)の有用性について検討した.利尿薬または尿酸降下薬服用者を除く外来高血圧患者1067名を対象に24時間家庭蓄尿により尿酸動態を評価した.さらに蓄尿と随時尿中UUA/UCrの評価を行った177名において,両方法に基づく高尿酸血症の病型分類について比較検討した.24時間蓄尿により高尿酸血症合併高血圧患者の92%が尿酸排泄低下型と判定された.高血圧患者,高尿酸血症合併高血圧患者のいずれにおいても蓄尿で産生過剰型と判定された例で24時間蓄尿中UUA/UCrが0.5未満を示した例はなかった.一方,随時尿実施者においても,随時尿中UUA/UCr が0.5未満を示した例の99%が蓄尿による評価で尿酸排泄低下型を示した.蓄尿中UUA/UCrは随時尿中UUA/UCrと有意な正の相関を認め(r=0.42, p<0.01),両方法に基づくUUA/UCr0.5をカットオフ値とした場合の病型分類の一致率は69.5%であった.高尿酸血症合併高血圧患者において随時尿中尿酸/クレアチニンに基づく病型分類は日常診療での薬剤選択の根拠となりうると思われた.

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© 2011 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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