抄録
痛風は,原因・病態がかなり明快に解明されている疾患で,その治療法も確立されている.その一方で,海外では痛風のマネージメントが不十分であることが話題になっている.私達の日常診療においても,来院中止により十分な治療が継続されていない患者が多いと思われる.そこで,来院中止した痛風患者の臨床的特徴を明らかにするため,2007年に当院を初診し一次性痛風と確認した男性267例において,初診日から最終来院日までが1年未満の患者を来院中止群,1年以上通院した患者を治療継続群と定義し,両群における臨床的特徴を統計学的に比較した.
治療継続率をKaplan-Meier法を用いて検討すると,約3割の患者が1ヶ月以内に来院中止となっていることが明らかとなった.来院中止群と治療継続群の背景因子を単変量解析で比較すると,治療継続群で初診時血清尿酸値が有意に高いことが示された.その他の因子では明らかな有意差を認めなかった.多変量解析では,治療継続に関与する因子として初診時尿酸値,尿路結石が抽出された.痛風の重症度を示す発作回数や痛風結節は,治療継続に関与しなかった.また脂質異常,糖尿病,高血圧といった生活習慣病の合併も治療継続には影響を与えなかった.受診早期の脱落を防ぐこと,生活習慣病合併の重要性の認識が治療アドヒアランスを高めることに関連する可能性が示唆された.