抄録
我が国の男性における高尿酸血症の頻度は,企業における健診や人間ドックのデータなどを用いて推定されているが,40歳代以降は30歳代に比べて低下する傾向が示されている.一般的に,高尿酸血症と密接に関連する肥満の割合は30歳代と比べて40歳代以降で減少しておらず,またやはり高尿酸血症と関連するアルコール消費量は,40歳代以降は30歳代よりもむしろ多いことが示されている.40歳代以降で30歳代に比べて高尿酸血症の頻度が低下傾向を示した原因を推定する目的で,診療報酬明細書(レセプト)データベースを用いて,尿酸降下薬の処方頻度を年齢別に検討した.その結果,尿酸降下薬処方頻度は,年齢とともに増加し(30歳代:1.2%,40歳代:3.3%,50歳代:5.8%,60歳代:9.8%),その増加程度は,40歳代以降の高尿酸血症頻度の低下の程度とほぼ一致した.以上の結果より,40歳代以降で30歳代に比べて,健診での高尿酸血症の頻度が低い原因として,尿酸降下薬による治療の影響が強く示唆された.