痛風と核酸代謝
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原著 1
分子遺伝学的検査にて本邦初の変異と家族内発症が明らかになったLesch-Nyhan variantの一家系
松田 安史山田 裕一若松 延昭三澤 美和江川 克哉山内 高弘中村 真希子長谷川 弘市田 公美上田 孝典
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2015 年 39 巻 2 号 p. 121-128

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抄録
Lesch-Nyhan症候群(LNS)は若年より重症の高尿酸血症,不随意運動,精神遅滞,自咬症等を呈する非常に稀な伴性劣性遺伝の症候群である.これはプリンサルベージ酵素のhypoxanthine-guanine phosphoribosyltransferase(HPRT)が先天的に完全欠損することで発症する症候群であるが,中には部分欠損に留まりLNSの様に症状が強く表れないHPRT部分欠損症(Lesch-Nyhan variant)も存在する.今回我々は若年で高尿酸血症・痛風を主訴に紹介受診された男性患者と,患者同様,若年発症の高尿酸血症を持つ男性同胞2人に対してHPRT遺伝子やHPRT活性等の検討を詳細に行い,全員がLesch-Nyhan variantであると診断するに至った症例を経験した.HPRT遺伝子の各エクソンをPCRにて増幅し直接塩基配列決定法にて分析したところ,3兄弟とも59番目の塩基にAからTに変わる単塩基置換(c.59A>T)が認められ20番目のコドンでアミノ酸がアスパラギン酸からバリンに変わるミスセンス変異(p.D20V)とHPRT活性の低下が認められた.また母親がこの遺伝子変異をヘテロで持つ保因者であることも判明した.Lesch-Nyhan variant におけるHPRT遺伝子の単塩基置換はこれまで世界で120例の報告があり本変異も1991年に米国で1例報告されている.しかしそれは単発の報告に留まっており,家族内発症での本変異の報告はなく,かつ本邦での本変異は初といった点で非常に有意義と考え今回報告した.
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© 2015 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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