痛風と核酸代謝
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原著
一地方都市病院における小児尿酸高値の小児症例の特徴
太田原 顕水田 栄之助林 篤藤田 晋一山本 一博久留 一郎
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2017 年 41 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

小児の血清尿酸値については成長期をまたぐ要素もあるため,正常値を含めていまだ不確定な部分が多い.高値を示す症例は代謝性疾患が有名であるが,それらは頻度的に少ない.一般臨床において頻度的には年齢分布は2相になることが知られており,5歳以下でピークとなる群では急性胃腸炎などの感染症の関与が多いとされている.われわれの施設では比較的高頻度に小児の血清尿酸値が測定(血清クレアチニンサンプル数の65%)されており,9ヶ月間で7.0mg/dl以上を示した28 サンプル28例の患者背景を検討した.ロタウイルス8例を含む急性胃腸炎が17例で,低出生体重児や初期嘔吐など分娩出産時に関わる症例の5例,上気道感染症3例と続いた.これら28例の尿素窒素値/ クレアチニン値比(BUN/Cr)と血清尿酸値との間には相関関係は認められなかった.

近年尿酸の腸管排泄経路が注目されており,胃腸炎と高尿酸血漿との関連について今後検討を進める必要がある.そのためには小児の尿酸高値の小児症例がさらに注目されなければならないと考える.

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© 2017 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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