社会政策
Online ISSN : 2433-2984
Print ISSN : 1883-1850
小特集 介護保険制度と障害福祉制度の「今」を考える:両制度の関係性と課題
障害者自立生活運動から見た介護保険制度の諸課題
――パティキュラリズムはユニバーサリズムに先行する――
渡邉 琢
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 14 巻 3 号 p. 86-96

詳細
抄録

 障害者自立生活運動は,重度障害者の24時間介護を可能とする介護保障制度を作り上げてきた。その介護保障運動の歴史は1970年代にまで遡る。現在では,その長時間介護保障のサービス類型は「重度訪問介護」と言われる。障害者権利条約で言及される「パーソナルアシスタンス」にもっとも近いサービス類型である。しかしこれは介護保険制度にはない。障害者自立生活運動から見れば介護保険はあまりに制約が多い制度である。利用量,利用時間の上限が定められている,利用内容の制約が厳しい,負担金をとられる,などなど。厚生労働省は,何度も障害福祉サービスを介護保険に近づけようと試みてきた。その都度,障害者自立生活運動は激しい行政闘争を展開してきた。今回の報告では,障害者自立生活運動から見て介護保険のどこが問題なのか,どのような運動(闘争)の歴史があって今があるのか,その運動にはどのような特徴があるのかなどについてお伝えする。

著者関連情報
© 社会政策学会
前の記事 次の記事
feedback
Top