痛風と核酸代謝
Online ISSN : 2186-6368
Print ISSN : 1344-9796
ISSN-L : 1344-9796
原著 1
糖代謝障害の進展と血清尿酸値
浦邊 真知帰山 沙織中屋 隆裕山田 実夏市川 麻衣佐藤 さつき今川 美智子藤井 美紀牧野 耕和銭丸 康夫鈴木 仁弥此下 忠志
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 42 巻 1 号 p. 7-14

詳細
抄録

背景:血清尿酸値は生活習慣病としての代謝障害のマーカーと考えられている.血清尿酸値と肥満,高中性脂肪血症,血圧高値との関係はよく知られているが,血清尿酸値と血糖値との関係については十分には明確となっていない.そこで,血糖値と尿酸値との関係,尿酸排泄動態について解析した.

対象と方法:対象は生活習慣病で当院外来を受診した連続症例630例である.メタボリックシンドロームの各構成因子である腹囲,中性脂肪(TG),平均血圧(MBP),血糖値と血清尿酸値の単回帰分析を行い,糖尿病の有無による血清尿酸値の差異を分散分析で解析した.最終的に空腹時血糖値により,第1群(正常値群:100 mg/dl未満),第2群(IFG相当群:100 mg/dl以上126 mg/dl未満),第3群(糖尿病低値相当群:126 mg/dl以上180 mg/dl未満),第4群(糖尿病高値相当群:180 mg/dl以上)に群分けし,各群における血清尿酸値,尿酸排泄率(FEUA),eGFR値等を共分散分析で解析した.共変量は性別,年齢,BMIとした.なお,この4群における血清尿酸値の差異の検定を主要評価項目とし,0.5 mg/dlの尿酸値の差異を80%の検出力,0.05の有意水準で検定するために,1群あたり80例の症例が必要と算出された.

結果:単回帰分析では,血清尿酸値は腹囲,TG (対数変換値),MBPと有意な相関を認めた(各々r=0.293/p<0.0001, r=0.217/p<0.0001, r=0.157/ p<0.0001).しかし血糖値とは有意な相関を認めなかった(r=-0.025/p=0.531).非糖尿病群と糖尿病群との血清尿酸値(以下単位はmg/dl)の比較では,5.08±1.39 vs 5.20±1.50(p=0.30)と有意差を認めなかった.血糖値区分別の4群における血清尿酸値の比較では,第1群(193例),第2群(211例),第3群(140例),第4群(86例)の順に,5.02±1.36, 5.33±1.54, 5.21±1.41, 4.85±1.39であり, 第1 群と第4 群(p<0.0001),第2 群と第3 群 (p=0.045),第2群と第4群(p<0.0001),第3群と第4群(p=0.007)に有意差を認めた.血糖値区分別の4群におけるeGFR(ml/min/1.73m2)の比較では,第1群から第4群の順に,77.6±18.5,76.7 ±17.2,77.8±23.1,86.5±30.3であり,第1群と第4群(p<0.0001),第2群と第4群(p<0.0001),第3 群と第4群(p<0.0001)に有意差を認めた.血糖値区分別の4群におけるFEUAの比較では,第1群から第4群の順に(単位は%),7.92±3.15,8.05± 3.70,7.98±3.17,9.18±5.62であり,第1群と第4群(p<0.0001),第2群と第4群(p=0.003),第3 群と第4群(p=0.010)に有意差を認めた.

結論:メタボリックシンドロームから糖尿病への進展過程で,血糖値は血清尿酸値に異なる影響を及ぼすことが示された.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
前の記事 次の記事
feedback
Top