痛風と核酸代謝
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42 巻, 1 号
痛風と核酸代謝
選択された号の論文の70件中1~50を表示しています
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総説
  • 中山 昌喜, 松尾 洋孝, 太田原 顕, 荻野 和秀, 箱田 雅之, 浜田 紀宏, 細山田 真, 山口 聡, 久留 一郎, 市田 公美, 四 ...
    2018 年 42 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2018/07/25
    公開日: 2018/07/25
    ジャーナル フリー

    The world- first clinical practice guideline (CPG) for renal hypouricemia (RHUC) has developed from Japan along MINDS methodology last year. Its first goal is to clarify the criteria for diagnosing RHUC, and another goal is to work towards a consensus on clinical decision-making.

    RHUC is caused by a dysfunction of renal urate reabsorption. It does not include congenital purine metabolism abnormalities or secondary hypouricemia, and is relatively common (0.3%) in Japanese populations. Genetic analyses have demonstrated its causes as dysfunctional variants in urate reabsorption transporter URAT1/SLC22A12 and/or GLUT9/SLC2A9 genes, but there should be unknown causative genes. One of the characteristics of RHUC is a low serum uric acid (SUA) level with increased renal excretion of uric acid. CPG proposed its clinical diagnostic guidance for RHUC along clinical algorithm, which enables easy diagnosis with simple tests. RHUC itself is usually asymptomatic, but exercise-induced acute kidney injury (EIAKI, also known as “ALPE”) and urolithiasis are well-known complications. EIAKI cases generally show transient and recurrent acute kidney injury (AKI), and receive common treatment for AKI. For urinary stones, urinary alkalization and citrate compounds are effective therapies and fluid intake is recommended for prevention.

    We strongly recommend that individuals with an SUA of ≤ 2.0 mg/dl (120 µmol/l) be considered for differential diagnosis of hypouricemia. Some studies reports that allopurinol, a xanthine oxidoreductase (XOR) inhibiter, was administered as prevention for EIAKI, but due to low evidence, we cannot definitively state that XOR inhibitors are effective. It should be therefore decided in the light of its potential benefits and harms.

    We hope that this CPG helps both healthcare providers and patients make clinical decisions, and will also promote the researches on RHUC.

原著 1
  • 浦邊 真知, 帰山 沙織, 中屋 隆裕, 山田 実夏, 市川 麻衣, 佐藤 さつき, 今川 美智子, 藤井 美紀, 牧野 耕和, 銭丸 康夫 ...
    2018 年 42 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2018/07/25
    公開日: 2018/07/25
    ジャーナル フリー

    背景:血清尿酸値は生活習慣病としての代謝障害のマーカーと考えられている.血清尿酸値と肥満,高中性脂肪血症,血圧高値との関係はよく知られているが,血清尿酸値と血糖値との関係については十分には明確となっていない.そこで,血糖値と尿酸値との関係,尿酸排泄動態について解析した.

    対象と方法:対象は生活習慣病で当院外来を受診した連続症例630例である.メタボリックシンドロームの各構成因子である腹囲,中性脂肪(TG),平均血圧(MBP),血糖値と血清尿酸値の単回帰分析を行い,糖尿病の有無による血清尿酸値の差異を分散分析で解析した.最終的に空腹時血糖値により,第1群(正常値群:100 mg/dl未満),第2群(IFG相当群:100 mg/dl以上126 mg/dl未満),第3群(糖尿病低値相当群:126 mg/dl以上180 mg/dl未満),第4群(糖尿病高値相当群:180 mg/dl以上)に群分けし,各群における血清尿酸値,尿酸排泄率(FEUA),eGFR値等を共分散分析で解析した.共変量は性別,年齢,BMIとした.なお,この4群における血清尿酸値の差異の検定を主要評価項目とし,0.5 mg/dlの尿酸値の差異を80%の検出力,0.05の有意水準で検定するために,1群あたり80例の症例が必要と算出された.

    結果:単回帰分析では,血清尿酸値は腹囲,TG (対数変換値),MBPと有意な相関を認めた(各々r=0.293/p<0.0001, r=0.217/p<0.0001, r=0.157/ p<0.0001).しかし血糖値とは有意な相関を認めなかった(r=-0.025/p=0.531).非糖尿病群と糖尿病群との血清尿酸値(以下単位はmg/dl)の比較では,5.08±1.39 vs 5.20±1.50(p=0.30)と有意差を認めなかった.血糖値区分別の4群における血清尿酸値の比較では,第1群(193例),第2群(211例),第3群(140例),第4群(86例)の順に,5.02±1.36, 5.33±1.54, 5.21±1.41, 4.85±1.39であり, 第1 群と第4 群(p<0.0001),第2 群と第3 群 (p=0.045),第2群と第4群(p<0.0001),第3群と第4群(p=0.007)に有意差を認めた.血糖値区分別の4群におけるeGFR(ml/min/1.73m2)の比較では,第1群から第4群の順に,77.6±18.5,76.7 ±17.2,77.8±23.1,86.5±30.3であり,第1群と第4群(p<0.0001),第2群と第4群(p<0.0001),第3 群と第4群(p<0.0001)に有意差を認めた.血糖値区分別の4群におけるFEUAの比較では,第1群から第4群の順に(単位は%),7.92±3.15,8.05± 3.70,7.98±3.17,9.18±5.62であり,第1群と第4群(p<0.0001),第2群と第4群(p=0.003),第3 群と第4群(p=0.010)に有意差を認めた.

    結論:メタボリックシンドロームから糖尿病への進展過程で,血糖値は血清尿酸値に異なる影響を及ぼすことが示された.

原著 2
  • 田中 万智, 大山 博司, 横関 美枝子, 大槻 美佳, 諸見里 仁, 大山 恵子, 高木 宜史, 宮﨑 俊太郎, 藤森 新
    2018 年 42 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2018/07/25
    公開日: 2018/07/25
    ジャーナル フリー

    減酒で改善が期待できる病態として痛風・高尿酸血症をはじめとして種々の生活習慣病があるが,各診療ガイドラインにおける飲酒指導の記述は適正飲酒量の提示に留まり教育方法への言及はない.飲酒関連問題に対してWHOは10の質問 から構成されるアルコール使用障害スクリーニ ングテスト(The Alcohol Use Disorders Identification Test.: AUDIT)を開発し,これを活用して減酒の必要性を気付かせる動機付けを行い,簡易介入(ブリーフインターベンション)として減酒支援を 繰り返すことで減酒を達成させる減酒指導対策を提唱している.我が国においても,アルコール健康障害基本法が2013年に成立し,アルコール健康障害対策推進基本計画の策定など国を挙げてアルコール健康障害をなくすよう取り組んでいる.今回,当院を受診している痛風と糖尿病患者6例を対象に飲酒指導者としてAUDITを利用した60分の集団教室を行った.各自に実際の飲酒量を純アルコール量に換算して計算させ,適量と考えられる純アルコール20gと飲酒量の差を実感させ,個々に減酒目標を設定させた.1か月後に聞き取り調査が行えた3例では,いずれも減酒目標が達成でき,γGTPの低下が観察された.今回は対象 が少人数で減酒の動機付け程度しか支援ができなかったが,今回の経験を活かして日々のアルコール指導方法について検討していきたいと考えている.

原著 3
  • 細谷 龍男, 鎌谷 直之, 谷口 敦夫
    2018 年 42 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2018/07/25
    公開日: 2018/07/25
    ジャーナル フリー

    高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインも2011年に第2版の追補がされ約6年が経過した(第1版2002年,第2版2010年発行).その間,尿酸生成抑制薬であるフェブキソスタット(2011年5月販売開始)とトピロキソスタット(2013年9月販売開始)が,開発・上市された.アロプリノール以来約40年新規開発のなかった尿酸生成抑制薬が本邦で開発され,従来の尿酸生成抑制薬に加え薬剤選択の幅が広がったことから,臨床医の尿酸降下薬の使用実態についてアンケート調査を実施した.アンケート配布数665名のうち186名の有効回答を得られた.使用している尿酸降下薬としては,フェブキソスタット183名,アロプリノール161名,ベンズブロマロン153名,トピロキソスタット86名(いずれも累計)と,大多数の医師が複数の薬剤を使い分けていた.尿酸降下薬の使用基準としては,合併症がない場合で8または9mg/dL以上が85.5%,合併症がある場合で7または9mg/dL以上が91.4%を占めた.また,尿酸降下療法の目標とした血清尿酸値の達成度は,「ほぼすべての患者で達成(100%)」および「大体の患者で達成(75%)」を併せて,85.5%がほぼ目標を達成していた.今回の結果から,高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインに基づく尿酸降下薬の使用開始が浸透していることが示された.

原著 4
  • Masafumi Kurajoh, Yuji Moriwaki, Hidenori Koyama, Hiroshi Tsuboi, Hiro ...
    2018 年 42 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 2018/07/25
    公開日: 2018/07/25
    ジャーナル フリー

    Objective: Ingestion of yogurt containing Lactobacillus gasseri PA-3 (PA-3, Accession No: NITE BP-224) (PA-3Y) has been shown to reduce serum uric acid (SUA) levels by interfering with the intestinal absorption of food-derived purines in animal studies. To confirm this mechanism in humans, the ability of PA-3 intake to alleviate purine ingestion-induced increases in SUA levels was analyzed.

    Research Methods and Procedures: In this randomized, double-blind, placebo-controlled crossover study, 16 healthy adults were randomized to groups ingesting of 112 g of PA-3Y or yogurt without PA-3 (control yogurt) in addition to standardized meals for 3 days. Purine-loading tests, in which subjects ingested 112 g of PA-3Y or control yogurt followed immediately by 498 mg of a mixture of purine nucleotides, were performed on the fourth day of each test period. Blood and urine samples were collected before and after the purine-loading tests.

    Results: The increase in the SUA concentration from the baseline was significantly lower following the ingestion of PA-3Y than of control yogurt alone, especially at 30 (P=0.033) and 60 (P=0.028) minutes. In addition, the area under the curve for the increase in the SUA concentration from the baseline to 150 minutes was also significantly lower (P=0.041) in the PA-3Y than in the control yogurt group. However, urinary and fractional excretions of uric acid were not different between the two groups.

    Conclusion: The ingestion of PA-3 before purine intake alleviates the increase in SUA levels, probably by reducing purine absorption in the intestine, and not by enhancing urinary excretion of uric acid.

原著 5
  • 斉田 光彦
    2018 年 42 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 2018/07/25
    公開日: 2018/07/25
    ジャーナル フリー

    背景:高血圧や慢性腎臓病(CKD)ではレニン・アンジオテンシン(RA)系及び交感神経系の活性化によりナトリウム(Na)と尿酸の尿中排泄が減少することから,高尿酸血症を合併していることが多い.降圧薬として用いられるシルニジピン(CIL)は他のカルシウム拮抗薬(CCB)と異なり,交感神経系に抑制的に働く事や尿酸生成を阻害する事などが報告されているが,これまで高血圧性腎症を対象にCILによる血清尿酸値(SUA)低下の作用機序についてRA系や交感神経活性(SNA)との関連から調べた研究は少ない.

    方法:高血圧未治療或いはAT1受容体遮断薬(ARB:ロサルタン以外)服用後も降圧不十分で高尿酸血症を伴う当院CKD患者83名に対して,アムロジピン(AML)又はCILを1年間投与した時の血圧,脈拍,SUA,尿中蛋白/ クレアチニン(Cr)比,尿中尿酸(UA)/Cr比,及び推算糸球体濾過量(eGFR)の推移を後向きに検討した.また,尿中UA/Cr<0.4を尿酸排泄低下型,早朝脈拍数(MPR)≧70beats/min(bpm)や尿中ノルエピネフリン濃度(UNE)≧160μg/dayをSNA亢進と判定した.

    結果:データは中央値で表す.CCB開始1年後,単独投与群では同等の降圧と尿蛋白減少(AML 156/88→133/81, CIL 158/85→136/77mmHg; AML 0.56→0.39, CIL 0.51→0.33g/gCr; 全てP<0.01)を認め,ARBとの併用群でも同様の結果となり4治療群間に差はなかったが,MPRはARB+CIL群のみ有意な減少を示し,他の3治療群では不変であった.両CCBの単独群及びARB併用群においては,どちらも基礎値からのSUA増加例の割合はAML 使用群がCIL使用群より多く,逆にSUA減少例の比率はAML使用群に比べCIL使用群で高率となった.CILのSUA減少作用は単独投与よりもARB併用の方が強力であり(CIL単独7.43→7.22mg/dL, p<0.05; ARB+CIL 7.41→6.91mg/dL, p<0.01),全CIL服用群でMPR≧70bpmや尿中UA/Cr≧0.4の例はそれ以外の例と比べてSUA減少度が大きかった.ARB+CIL群のうちeGFR≧60mL/min/1.73m2 かつUNE≧160μg/day例ではSUA減少が最も顕著となり(7.39→6.27mg/dL, p<0.01),特に尿中UA/Cr<0.4の病型においては作用が更に増強され,畜尿例でも腎機能補正後の尿中尿酸排泄率が有意に上昇していた.

    結論:腎症合併高血圧においてCILは通常尿酸生成阻害性及び混合性機序により降圧度や尿蛋白減少度とは独立したSUA低下作用を示すが,腎機能温存かつ交感神経亢進の状態では尿酸排泄促進機序が追加されてSUA減少効果を増幅することが示唆された.

原著 6
  • 大山 博司, 大山 恵子, 諸見里 仁, 藤森 新
    2018 年 42 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 2018/07/25
    公開日: 2018/07/25
    ジャーナル フリー

    2016年2月と3月に当クリニックを通院中でフェブキソスタットとトピロキソスタットが投与されている患者の中から,両薬剤投与前の推算糸球体濾過量(eGFR)が60mL/min/1.73m2未満の痛風患者を抽出して対象とした.フェブキソスタット投与群34例の血清尿酸値は9.1±1.7mg/dL,eGFR は50.6±9.0mL/min/1.73m2でトピロキソスタット投与群17例の血清尿酸値は8.6±1.1mg/dL,eGFR は52.9±5.7mL/min/1.73m2で,投与12か月までの血清尿酸値とeGFRの推移を比較検討した.いずれの治療群においても痛風関節炎を除く明らかな有害事象の出現は認めなかった.フェブキソスタット投与群では血清尿酸値6.0mg/dL未満の達成率は70%を超えトピロキソスタット投与群の50~60%に比べて血清尿酸値の低下は良好な傾向にあった.トピロキソスタット投与群で血清尿酸値の低下が劣っていた理由として服薬アドヒアランスの低下が推察された.トピロキソスタット投与群では有意に,フェブキソスタット投与群では有意ではないが,半数で治療前に比べてeGFRの改善が認められ,特に血清尿酸値6.0mg/dL未満達成者で腎機能の改善が良好であった.新規XO 阻害薬のフェブキソスタットとトピロキソスタットは中等度の腎機能低下患者に対して安全に使用でき,腎機能の改善が期待できる薬剤であると考えられた.

原著 7
  • Naoyuki Kamatani, Kenichi Furihata, Atsuo Taniguchi, Tomoko Fukuuchi, ...
    2018 年 42 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 2018/07/25
    公開日: 2018/07/25
    ジャーナル フリー

    Objective: To examine whether the supplementation of inosine augments ATP in vitro in human erythrocytes incubated in saline.

    Methods: Peripheral blood was drawn from each of three subjects, i.e. one healthy male and two males with thalassemia and hemoglobinopathy. After washing the erythrocytes in saline, they were suspended in saline to which inosine was added to final concentrations of 0, 0.5 and 2.5 mM. The suspension was incubated at 37 °C for 1 or 3 hours, and 0.5 ml ice cold 8% perchloric acid was added to the 0.5 ml erythrocyte-containing solution. After removing precipitates and perchloric acid, the supernatant was submitted to HPLC for the measurement of ATP.

    Results : Since the blood samples of the two subjects with thalassemia and hemoglobinopathy were transported from the clinics to the laboratory, ATP in the blood decreased considerably during the transportation. However, the reduction of ATP with time was observed in the erythrocytes in saline obtained from each of the three subjects during the incubation from 1 hour to 3 hours. In addition, dose-dependent suppression of the decrease of ATP with inosine was observed in all the three cases at both 1 hour and 3 hour incubation times.

    Conclusions: Incubation of erythrocytes from a healthy subject and two thalassemia/hemoglobinopathy patients in saline at 37 °C resulted in time-dependent decreases of ATP. Supplementation of inosine to the solutions resulted in the suppression of the decreases of ATP in a dose-dependent manner.

第51回日本痛風・核酸代謝学会記録
一般演題:口演
一般演題:ポスター
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