抄録
マウス腹腔内にxylitolあるいはfructoseを0.5g/kg以上投与すると,投与後15分後をピークとして,血清尿酸値が著明に上昇することを認めた. uricase阻害剤2,8-diazahypoxanthineを同時に与えると,この作用はさらに増大した. glucoseの場合投与量を1.5g/kgまで増加したが尿酸値の上昇は認められなかった.
in vitroにおいて,ラット赤血球にxylitol,fructoseあるいはglucoseを添加すると,反応液中無機リン濃度の増加に伴い,PRPPの合成が促進した. しかしながら,上記糖類の0.5g/kg以上をマウス腹腔内に投与した場合には赤血球PRPP濃度の増加は認められなかった. ところが肝PRPPレベルはxylitolあるいはfructose投与後15分をピークとして著明に増加することが観察された. そしてこの作用は用量依存性であり,xylitolの作用がfructoseのそれより著しく優っていることが判明した. この際にもglucoseにはこのような作用は認められなかった.
xylitolやfructoseの肝PRPPレベル上昇作用はβ-細胞からのinsulinの分泌を介するものではないことが示された.
以上,外因性に与えられたxylitolやfructoseは,恐らくそれ自身糖代謝に組込まれ,PRPP合成の基質であるribose-5-phosphateを増量することにより肝においてPRPP量を増加し,purine de novo合成の促進,これによる尿酸生成の増加が高尿酸血症を誘発する一部の原因になっているものと考えられる.