プリン・ピリミジン代謝
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日常飲酒量が飲酒後の高尿酸血症に及ぼす影響
清水 孝郎西村 隆通大野 昭桑島 正道川知 雅典嶺尾 郁夫中島 弘河野 典夫垂井 清一郎
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1992 年 16 巻 1 号 p. 9-13

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抄録
飲酒が痛風発作を誘発し,特に大量のエタノールが血清尿酸を増加させることはよく知られているが,少量のエタノールの影響についてはあまり知られていない.少量飲酒の場合,プリン体の含量の多いビールでは血清尿酸は増加するものの蒸留酒では増加しないと報告され,患者指導にも混乱をきたしていた.大量のエタノールが血清尿酸を増加させる機構としてエタノール代謝に連なる尿酸合成亢進が提案されている.そこで私共は,少量のエタノール摂取の影響を日常飲酒量を考慮に加えて検討した.日常飲酒量が20g/day以下の少量飲酒家ではウィスキー負荷(体重1kg当たりエタノール換算で0.5g)しても血清尿酸は変動しなかったが,60g/day以上の大量飲酒家では同量のウィスキー負荷後120分より血清尿酸が有意に増加した(180分後の増分0.9±0.4mg/dl).この尿酸増加は,尿酸合成基質であるオキシプリンの増加をともなっていた.エタノール中間代謝産物である酢酸は代謝される際にATPを消費し,オキシプリンを産生する.このことから,エタノール代謝が亢進している大量飲酒家では,少量エタノール摂取でも尿酸合成が亢進する結果,血清尿酸が増加すると考えられる.
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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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