プリン・ピリミジン代謝
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筋原性高尿酸血症の治療
筋ホスホフルクトキナーゼ欠損症におけるアロプリノールのプリン代謝改善効果と筋酵素逸脱抑制効果
川知 雅典河野 典夫伊藤 直人大野 昭嶺尾 郁夫清水 孝郎中島 弘西村 隆通山崎 知行浜口 朋也桑島 正道垂井 清一郎
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1992 年 16 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

筋原性高尿酸血症を呈する代表的疾患である筋ホスホフルクトキナーゼ(PFK)欠損症(グリコーゲン病VII型,垂井病)に対して,アロプリノールの効果を検討した.
筋PFK欠損症の第一家系患者を対象に,アロプリノール200~300mg/日を投与し,約2年間にわたって,血中および尿中プリン体の変動を分析したところ,血中尿酸値は15.0mg/dlから6.0mg/dl前後と正常化し,1日尿中尿酸排泄量も前値の約1/2で推移した.血中オキシプリン濃度は,アロプリノール治療中の原発性尿酸産生過剰型痛風患者と比較して約6倍高く,しかもヒポキサンチンの占める割合がキサンチンに比べて大きかった.また,薬剤の継続服用により,尿への総プリン排泄量も減少した.
次に,アロプリノールを継続服用中に,自転車エルゴメーター運動を行ったところ,血中キサンチン,ヒポキサンチンはともに増加したが,尿酸の増加反応は抑制され,薬剤非服用運動時に比べて,キサンチンの増加率が大きかった.また,運動後の血中クレアチンキナーゼ増加反応も著しく改善した.
以上より,筋PFK欠損症にみられる筋原性高尿酸血症に対して,アロプリノールは血中尿酸値の正常化と尿中総プリン排泄量の減少に有効であり,運動筋からのクレアチンキナーゼ逸脱抑制効果も認められた.

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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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