痛風と核酸代謝
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原著4HPRT欠損症の遺伝子解析:新たな6変異とアジア人変異の総括
山田 裕一野村 紀子若松 延昭
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2007 年 31 巻 1 号 p. 31-40

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抄録

Hypoxanthine guanine phosphoribosyltransferase(HPRT)が,完全に欠損すると,Lesch-Nyhan症候群を発症し,部分欠損では高尿酸血症が重症の痛風や急性腎不全の原因となり,神経症状を有する症例も見られる.我々はこれらHPRT欠損症の患者およびその家族の遺伝子解析を行っているが,今回,新たに3例の部分欠損症と3例の典型的なLesch-Nyhan患者の遺伝子異常を明らかにした.神経症状のない高尿酸血症の部分欠損2例で,新しいミスセンス変異(T124P,D185G)を同定した.アテトーゼ型の脳性麻痺を合併する部分欠損例では,第1イントロンにスプライシング異常の原因となる単塩基置換(27+5G>A)が見られた.この変異では第1イントロンの5'末49bpを含む異常mRNA(10fs27X)の発現が確認されたが,極少量の正常mRNAの発現が見られ,これが症状の軽減に関係していると考えられた.典型的なLesch-Nyhan症候群の家系では,3塩基欠失による1アミノ酸欠失2例(V8del,Y28del)と1塩基欠失(635delG)によるフレームシフト変異1例(212fs250X)が同定された.今回の6例を含め,これまでにアジア人47家系で42種類のHPRT欠損症の原因遺伝子変異を同定した.

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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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