痛風と尿酸・核酸
Online ISSN : 2435-0095
原著 1
SLC2A9(GLUT9)遺伝子多型とレニンーアンジオテンシン系活性化
此下 忠志古谷 真知佐藤 さつき銭丸 康夫藤井 美紀牧野 耕和
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2019 年 43 巻 1 号 p. 11-17

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抄録

高尿酸血症は動脈硬化性疾患としての心腎血管病の発症リスクと考えられている.その機序として,かねてよりレニン−アンジオテンシン系(RA系)活性化の可能性が指摘されている.RA系が動脈硬化性病態形成に関与することはよく知られている.しかし尿酸がRA系を活性化するという根拠は未だ十分とは言えない.一方,血漿レニン活性値(PRA)は遺伝因子や環境因子により規定されていることが示されている.そこで,各種の交絡因子の影響を最小限で評価可能であるメンデルランダム化法の概念を用い,遺伝的に尿酸値を規定する可能性が想定されるSLC2A9(GLUT9)遺伝子多型により,PRAに差異が生じるという作業仮説を検証した.対象は各種生活習慣病のため当院を受診した連続804症例である.末梢白血球よりDNAを抽出し,リアルタイムPCRシステムを用い,痛風の発症に関わることが知られているSLC2A9(GLUT9)遺伝子多型,rs1014290を判定し,PRA値の高値群(0.70 ng/ml/hr. 以上,410例)と低値群(0.70 ng/ml/hr. 未満,394例)の2群との相関を解析した.血清尿酸値(mg/dl)は以下:CC(127例)5.04±1.45, CT(392例)5.08±1.49, TT(286例)5.44±1.45(CC vs CT, p=0.77; CC vs TT,p=0.011; CT vs TT, p=0.002).すなわちTアレルホモ接合体で血清尿酸値が有意に高値であることが判明した.一方,SLC2A9(GLUT9)遺伝子型とPRAの高低による2群との間に有意な関連を認め,PRA高値となるオッズ比はTアレル保有者がCアレル保有者に対して1.24(95%信頼区間 1.02-1.52,p=0.033)であった.Armitageのトレンドテストでも有意であった(p=0.032).SLC2A9(GLUT9)のrs1014290多型により血清尿酸値はある程度規定されており,その尿酸値の高い遺伝的体質の群でPRAが高値となることが確認された.以上のとおりメンデルランダム化法の概念に則った解析により,高尿酸血症が循環系のレニン−アンジオテンシン系を活性化することが示唆された.

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© 2019 一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会
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