痛風と尿酸・核酸
Online ISSN : 2435-0095
原著 1
わが国における痛風発症年齢の最近の傾向
大山 博司大山 恵子諸見里 仁藤森 新
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キーワード: 痛風, 発症年齢, 病型分類
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2020 年 44 巻 2 号 p. 159-166

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抄録

当院痛風外来を2016年6月から2017年5月までの1年間に初診し,発症年齢についての聞き取りとクリアランス検査が実施されていた男性痛風患者358例について痛風の発症年齢と痛風発症に及ぼす要因を検討した.痛風発症年齢の平均は41.9±10.8歳で,年齢階級別にみると40歳代が最も多く36.9%,次いで30歳代が33.8%,50歳代が13.1%,20歳代以下が9.8%で,70歳代以上の高齢発症は1.4%に過ぎなかった.若年層(特に10歳代)での痛風発症に及ぼす要因としては肥満の関与が大きく,10歳代を除く全年齢層で飲酒習慣を認め,特に60歳代で顕著であった.病型は排泄低下型が多かったが,60歳代は腎負荷型が他の年齢層に比べて多く存在した.食生活の栄養学的な質的量的変化を伴う環境要因の変化に基づいて,わが国の痛風発症の若年化は30-40歳代の増加を主体として1965年から1984年までの20年間に起ったが,その後は発症年齢の若年化は進んでおらず高齢化の傾向も認められないものと考えられた.

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© 2020 一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会
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