日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
炭酸力ルシウムの真比重とゴム配合物の比重
長谷川 博
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1957 年 30 巻 11 号 p. 837-841

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抄録
炭酸カルシウムは結晶学的には斜方六方晶系のカルサイト型と斜方晶系のアラゴナイト型とに大別され、その真比重は前者は2.71, 後者は2.93として既に多くの文献に報告されている。
本報では同じカルサイト型であるが、粒子の大きさ、見掛け密度の異なる各種重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウムおよび表面処理を施した活性化炭酸カルシウムについて、その比重をピクノメーターを用いASTM, D153-39の測定法に準じて測定した。その結果天然石灰石を機械的に粉砕した重質炭酸カルシウムの比重値は、粒子の大きさ如何にかかわらずカルサイト型CaCO3の文献値と一致したが、軽微性炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウムのような沈降性炭酸カルシウムの比重値は2.55-2.61となり、かなり小さい値を示すことを見出した。同じカルサイト型結晶のものであつてもこのような差を示すのは、恐らく粒子のPorosity又は界面的性質の相違による為であろうと考える。なおこれら炭酸カルシウムの比重値は、実際にゴムに配合して得た加硫ゴムの比重から逆算した炭酸カルシウムの比重/直とよく一致することを確めた。
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© 一般社団法人 日本ゴム協会
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