行動分析学研究
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実践報告
知的障害のある児童の漢字熟語の読みに対する刺激ペアリング手続きの効果と般化および社会的妥当性の検討
野田 航豊永 博子
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2017 年 31 巻 2 号 p. 153-162

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抄録

研究の目的 本研究では知的障害のある児童2名の漢字熟語の読みを対象に、刺激ペアリング手続きの効果と般化および社会的妥当性を検討した。研究計画 教材間多層プローブデザインを用いて指導効果を検証した。場面 公立小学校特別支援学級の教室内で担任である第二著者が実施した。参加児 特別支援学級に在籍する知的障害のある児童2名が参加した。介入 刺激ペアリング手続きでは、ディスプレイ上に、漢字熟語とその読み方の音声刺激が同時に2秒間呈示され、その後、漢字熟語の意味を表すイラストを2秒間呈示した。児童は、音声刺激が聞こえたら直後に復唱することが求められた。行動の指標 正しく読めた漢字熟語の割合 (正答率) を指標とした。結果 参加児2名ともに、刺激ペアリング手続きによって漢字熟語の読みの正答率が増加し、その効果は10日間維持されていた。また、獲得した漢字熟語の読みは、文章中の漢字熟語の読みへと般化したことが確認された。さらに、個人差はあるものの、刺激ペアリング手続きは特別支援学級教員にとっておおむね受け入れやすいと評価された。結論 刺激ペアリング手続きによる漢字の読みに対する効果が示され、この指導法は学校現場においても実行可能性が高いことが示唆された。

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© 2017 一般社団法人 日本行動分析学会
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