過塩素酸を用いる湿式燃焼法によって加硫ゴムを分解し, これより全硫黄を定量する研究は古くから行なわれているが, 分解時に爆発の危険性があり, また開放容器中では定量値が若干低くなる欠点があるため余り実用されていない.
著者らは数種の含硫黄加硫促進剤や各種加硫ゴムにブロムを飽和した硝酸10ccと過塩素酸5ccを加えて蒸発皿中にて加熱分解し, さらに過塩素酸の白煙が発生するまで直火で加熱濃縮し, 稀釈後滬過し, 滬液より直ちに硫酸バリウムを生成させる重量法によって全硫黄を定量し, JIS法によって得られた定量値と比較検討した. その結果いずれの場合にもまったく爆発の危険性はなく, しかも大体満足すべき結果が得られた. また同一試料について, 繰返し定量を行なった場合の平均偏差も, JIS法の±0.10%に対し, 本法は±0.05で, むしろ良好な結果が得られた. なお分析所要時間は約8hで, JIS法の1/2程度であった.