N-置換チオウレアが天然ゴムに対して加硫促進剤として効力を有していることを見出した. そしてチオウレア類のあるチッソ原子から電子が押し出されて八員環状硫黄のある位置のイオウ原子に電子が移動し, 同時に別のイオウ原子からチオウレアのイオウ原子に電子が移動しようとする作用が働く. この場合, 直ちに八員環状のイオウは切断されて, これが加硫反応に寄与する. この仮定のもとに簡単な量子化学的計算をおこない, ほぼ実験結果と一致した. この結果から, 大体チオウレア系加硫促進剤は, 本報に示したような機構で加硫が進むものと考えられる。