日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
モデルフィラメントにおけるKink Bandと疲労との関係
疲労したナイロンタイヤコードの顕微鏡による観察 (第2報)
宮本 宗一鷲見 保俊永井 博藤本 典秀
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1966 年 39 巻 7 号 p. 511-515

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抄録
ナイロン剛毛に繰返し圧縮ひずみを与えると, 一定角度をしたkink bandが規則的に生じる.Kink bandは剛毛内部にまで達しており, この部分では結晶の配列がするどく屈曲している.kink bandは疲労初期に生じ, 時間とともに数, 大きさを増して, 更にクラックまで発達した.また, 伸長するとkink bandは大きくなり, 更にbandに沿ってクラックができ, クラックに沿って急激に切断した.
kink bandが発生していても小さなものでは強力の低下は認められないが, 比較的大きなもの, また, クラックになったものでは強力低下がある.
このようにkink band発生そのものは強力低下と直接関係ないが, これがクラック発生の核となり, 強力低下, 更に疲労切断の原因となる.
タイヤコードにおいても同様にkink bandからのクラックの成長がフィラメントの強力低下, 更に切断となりコードの強力低下すなわち疲労の一因となるものと思われる.
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