日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
エピクロルヒドリンゴムに対する抗酸化性橋かけ剤の効果
中村 儀郎森 邦夫中村 格
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1976 年 49 巻 9 号 p. 712-717

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抄録

2-R-4, 6-ジチオール-s-トリアジン [I](R: NHC6H4NHC6H5, N (i-C3H7) C6H4NHC6H5, NHC6H2 (t-C4H9) 2OH) はエピクロルヒドリンゴム (CHR) に対して橋かけ剤と抗酸化剤の作用を同時に持ついわゆる抗酸化性橋かけ剤となることが分った.[I] の2っのチオール基は橋かけ鎖の形成に, またRは抗酸化性に関与する.CHRに対する [I] の橋かけ速度はRについてNHC6H2 (t-C4H9) 2OH<NHC6H4NHC6H5<N (i-C3H7) C6H4NHC6H5の順に増大する.[I] の橋かけ後に示す抗酸化性はN-フェニル-β-ナフチルアミン, ニッケルージ-n-ブチルジチオカルバメイトのような一般的抗酸化剤とほぼ同程度であり, この効果は加硫ゴムのエタノール抽出後においても変りなく, 優れた非散逸性が確認された.
また, これらの抗酸化性橋かけ剤はエピクロルヒドリンエチレンオキシド共重合ゴム, クロロプレンゴム, 塩素化ブチルゴム, 及び塩素系アクリルゴムのような含塩素ゴムに対しても同様の効果を発揮する.

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