日本草地学会誌
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飼料作物の乾物生産に関する研究 : 第1報 ラジノクローバーの生育相ならびにその季節別の成長解析について
熊井 清雄広瀬 又三郎真田 雅
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1965 年 11 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

ラジノクローバーの生育相と季節別の乾物生産機構を明らかにする目的で本試験を行なった。結果を要約すれば以下のとおりである。1.ラジノクローバーの地上部(小葉+葉柄)と地下器官(ほふく茎+根)の生育相は全くちがい,地上部の成長が盛んな時期では地下器官は減少する。地下器官の主要成長期は晩秋から早春までの期間である。2.ほふく茎の量的増加は11月を中心に起こる。根は冬の期間にほふく茎の養分を使って早春まで成長をつづける。ほふく茎および根の減少は萠芽時と刈取利用をうけるごとに8月まで減少の一途をたどる。特に梅雨期の減少が顕著であった。3.ほふく茎および根は貯蔵器宮としての役割を持ち,秋に養分を蓄えて,萠芽時と春から夏の地上部の成長を支えていることが明らかとなった。4.ラジノクローバーの同化物質の分配は春は地上部に,秋は地下部に高かった。したがって,秋の乾物生産量は春にほぼ近いが,地上部の収量は低い段階にとどまっていた。5.ラジノクローバーの成長解析を行なった結果,生育期間中の純同化率は41.4-7.2Fの直線回帰式が求められ,この式から推定される最適葉面積指数は2.9であった。季節別の純同化率については,春は37.2-4.9F,夏は,33.3-6.4F,秋は50.1-10.7Fであった。生育期間中の最大葉面積指数は5.7を示し,刈取後の葉面積は4週でほぼ最高に近く,その後,微増ないし漸減した。6.ラジノクローバーの収量を確保するためには地下器官の充実と,純同化率の一般式a-bFのbの値を小さく,最適葉面積指数を大きくするためには,葉層の高さとその垂直分布を良くすることが重要であると考えられる。

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© 1965 著者
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