抄録
1)放牧草の嗜好性測定方法としてi)採食量法,ii)採食時間法,iii)採食頭数法の3法を用い,イネ科牧草8種類(草種4×生育ステージ2)を2連に設けた草地で,10頭の去勢牛に自由採食させながら,測定方法間相互の比較を試みた。2)放牧試験におけると同様に,3測定方法間の比較を繋牧によっても試験した。3)放牧・繋牧ともに,3測定方法間には予想以上に高い相関関係が認められた。4)嗜好性測定方法として採食量法は,理論的にもっとも望ましい方法ではあるが,測定作業が多労であり,そのSampling誤差も生じやすいので,本試験のごとく1回1時間ていどの短時間測定では,採食時間法または採食頭数法の活用が可能のように思われた。5)採食速度の経時的変化の問題と関連して,採食時間を修正しながら,採食量との相関を高めてゆく方法については,今後の検討がとくに必要であると思われた。