抄録
輪換畑において混播牧草を栽培するに当たり,多収でしかも年間平均して収量を高めるために,1961年10月12日にオーチャードグラス・ラジノクローバー・レッドクローバーおよびイタリアンライグラス(毎年秋に追播)の4種を混播してかんがい・地下水位・施肥量および刈取高さについて2年間試験した。1)春先きに乾燥状態の続く関東地方ではかんがい効果があり,イタリアンの増加が認められる。しかし,夏期間に地下水位が上昇すると(平均32cm)かんがい効果は見られなくなる。2)さらに地下水位が高過ぎると(平均22cm)オーチャードとレッドクローバーには湿害が出て消滅し,ラジノクローバー単一化の主因となる。3)多肥による増収効果はイタリアンが草種構成の主体を占めている期間には認められるが,夏以降は欠株となって雑草が発生し,多年生牧草の多い標肥区(a当たり年間追肥量合計N・P_2O_4・K_2Oそれぞれ2・2・5kg)が多収となり,年間の牧草収量には多肥効果がなない。4)刈取高さを低く(5cm)するとイタリアンとラジノの収量は高まるが,オーチャードとレッドクローバーは高刈(10・15cm)ほど多い。年間の収量としては低刈ほど多いが低刈もラジノクローバー単一化の原因になるとともに,夏秋期の滅収を来たす原因となる。5)地下水位が低く,多肥よりは標肥にすることによって,また低刈よりは高刈によって夏秋期の低収を防ぐことが出来るがその程度は極めて小さく,年間合計生草重もa当たり1,000kg前後にとどまった。