日本草地学会誌
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サイレージの品質に及ぼす埋藏時の空気混入率の影響 : V.温度との関連性
高橋 正行
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1969 年 15 巻 2 号 p. 131-137

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抄録
サイレージの品質に及ぼす埋蔵時の空気混入率の影響とサイロ内温度との関連性について検討するため,刈取り前の窒素肥料施用の有無およびグルコースの添加により,そのWSC含量を変えたイタリアンライグラス生草および予乾草を用い,おのおのを埋蔵時の空気混入率を(小),(中)および(大)の3段階に調節してサイレージを調製し,それぞれを更に2群に分けて一方を高温,(25℃)他方を低温(12℃)条件で5週間貯蔵した。WSC含量0.7%の生草材料の場合,高温貯蔵ではサイレージの品質は全般的に劣ったが,空気混入率が大きい方が幾分よかった。低温貯蔵では空気混入率(小)および(中)で品質がかなり向上し,空気混入率が小さいほど品質がよかった。WSC含量1.7%および1.9の生草材料の場合では,高温貯蔵では前者は空気混入率(中)で,後者は空気混入率(小)で品質が最もよかった。これらの場合,いずれも空気混入率(小)と(中)とではあまり差がなかったが,(大)では非常に劣った。低温貯蔵では空気混入率が小さいほど品質がよく,また高温に比較して全般的に品質が向上したが,この傾向はとくに空気混入率(大)で著るしかった。またWSC含量がきわめて少なかった生草を予乾した場合には,高温でもほぼ満足すべき品質のサイレージが得られ,空気混入率にもとづく品質差もほとんどみられなかった。低温貯蔵では更に品質が向上したが,空気混入率が小さいほど品質がよかった。WSC含量2.5%および3.6%の予乾材料では,高温貯蔵でもすでにかなり良質のサイレージが得られたが,この場合やはり空気混入率が小さいほどより良好となった。低温貯蔵では空気混入率(中)および(大)で更に品質が向上し,とくに後者でその程度が著るしく,したがって空気混入率にもとづく品質差がほとんど認められなくなった。
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© 1969 著者
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