抄録
草地生態系における土壌動物の役割に関する試験研究の一環として,札幌市の中央に位置する採草地(クロバー類・チモシー類混播)の大型土壌動物相(体長2mm以上,但しダニ・トビムシ・ヒメミミズ類は除く)と,その季節的変動を調べた。2か年間の結果を概括すると以下のとおりである。総個体数および総現存量とも秋(9〜10月)に高く,冬(12〜3月)に低かった。採集大型土壌動物は3科13目に亘る22グループに分けられた。これらのうち総個体数に占める割合が2%以上のものは,ミミズ類(74.0%),アリ類(7.0%),コガネムシ類(3.4%),コメツキムシ類(2.7%),クモ類(2.5%)およびムカデ類(2.2%)であった。これらのグループはそれぞれやや異なった季節的変動を示したが,秋に多く,冬に少なかった。冬期間はミミズ類が総個体数および総現存量の大部分を占めていた。