日本草地学会誌
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牧草の乾物生産 : 第5報 乾物生産量の推定式(乾物生産式)について
窪田 文武県 和一鎌田 悦男
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1972 年 18 巻 4 号 p. 277-282

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抄録
1.牧草群落の光合成量,呼吸量のCO_2収支を基礎に数学的手法により乾物生産量,CGRの推定式の創出をおこなった。2.牧草群落のCO_2収支から乾物生産量を求める式は,微分方程式(1)で示される。dw=p(t)・dt-r(t)・W・dt…(1)p(t)は群落光合成量(乾物換算値/day)の刈取後の変化,r(t)は植物個体の呼吸速度の刈取後の変化,Wは乾物重を示す。3.植物体の呼吸速度r(t)の変化は小さいと考えられることから,r(t)-r…const.としても余り大きな支障はないものと考えられる。すなわち,(1)式は(6)式のようになる。dw=p(t)・dt-r・W・dt…(6)また,群落光合成量の刈取後の変化は,飽和点を持つ曲線式(2)で近似できることがわかった。P(t)=α(1-e^<-at>)…(2)(α,aは係数)4.(6)式に(2)式を代入して解くと(8)式が得られ,(8)式をtについて微分すると(9)式が得られる。(8)式からは牧草の刈取後の乾物重の変化を,(9)式からは日乾物生産速度(CGR)を推定することができる。[numerical formula][numerical formula](W_0はt=0の時のWの値,すなわち,刈取時の残存乾物重を示す)5.p(t)=p…const.,r(t)=γ…const.の場合の乾物重,CGRの推定は,それぞれ(10)式,(11)式によりおこなうことができる。[numerical formula][numerical formula]6.以上にのべてきた各推定式をそれぞれ目的に応じて適切に活用すれば,牧草の乾物生産解析,あるいは乾物生産量の推定をおこなう場合などに有力な手法となることが予測される。
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© 1972 著者
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