抄録
本実験では,草地における群落光合成測定手段としての大型同化箱法を検討するために,ペレニアルライグラスの草地を供試材料にして開放型同化箱によって長期間群落光合成を連続的に測定し,測定期間中のCO_2収支から求めた乾物生産量と実測した乾物生産量との比較をおこなった。その結果,実測値に対する計算値の比率は92%となり,かなりの一致が示された。これは,同化箱内の気象条件をできるだけ箱外草地のそれに近づけた結果と考えられる。すなわち本実験の場合,箱内と箱外との差を気温では-0.66±1.47℃,相対湿度では,7.1±4.3%,CO_2濃度では0.85±7.41ppmに維持することができた。以上の結果は,同化箱内の気象条件をより自然に近い状態に保てば,草地における群落光合成の測定手段として大型同化箱は妥当であり,測定値は信頼性の高いものであることを立証している。