日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
Print ISSN : 0447-5933
ISSN-L : 0447-5933
輪換畑におけるイタリアンライグラスと野ビエの連続栽培に関する研究 : 第3報 ケイヌビエ種子の活性変化と外囲条件との関係
高橋 均高橋 保夫本田 太陽根岸 節郎
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1974 年 20 巻 2 号 p. 73-78

詳細
抄録
本連続栽培の基礎資料を得,併せて跡地水田における雑草化対策の資料を得るために,ケイヌビエ種子の活性変化と風乾貯蔵条件ならびに土壌中埋没条件との関係について実験し,次の結果を得た。(1)秋に成熟した種子はすべてが休眠状態にあり,休眠覚醒に要する期間は種子のおかれた条件によって異なった。休眠覚醒を完了した種子は再び休眠に入ることはなく,二次休眠の現象はないものと結論された。(2)秋に採種後風乾した種子の休眠覚醒完了には,室温(10〜20℃)下で3〜7ヵ月,外気温下では6〜11ヵ月で翌年の夏までを要し,さらに5℃貯蔵では1〜2年を要し,高温条件で覚醒が促進されたといえる。(3)秋に土壌中に入った種子は,低温下であっても1ヵ月後には50%以上が覚醒過程に入って変温条件で発芽可能になり,休眠覚醒の完了はおおよそ翌春の2〜4月であった。土壌が湿潤より乾燥の場合に,また,表層および深層よりも0.5〜12cmの層中にある種子の休眠覚醒が早かった。(4)室温および外気温下の風乾貯蔵種子は採種後2・3年目の夏の高温時に死滅して発芽能力を失った。5℃貯蔵では4年以上の寿命であった。(5)土壌表層0.5cm以上にある種子は85〜90%が翌春4月下旬から発芽し,0.5〜3cmの深さにある種子は2年間の春〜夏に約50%が発芽した。残りの種子および3cmより深い層にある種子は全種子が休眠覚醒を完了する以前から死滅し始め,3年間でほとんどが発芽することなく死滅した。土壌が湛水・湿潤条件の場合,また上層より下層にある場合に,種子の生存年限がやや長かった。
著者関連情報
© 1974 著者
前の記事 次の記事
feedback
Top