トウモロコシ「交4号」を未乳熟から黄熟期までの間に収穫した場合の化学組成とサイレージの飼料価値の変化を調べ次の結果を得た。1)8月25日から9月27日まで,ほぼ10日間隔で4回収穫した。子実の熟期は未乳熟から黄熟期に達した。乾物収量はしだいに増加して1.15t/10aとなり,このうち,雌穂の収量は0.15t/10aから0.67t/10aと顕著に増加した。トウモロコシの部位別化学組成の生育に伴う変化は,茎葉部では,乾物含量に大きな差はなく,粗蛋白質と可溶無窒素物含量は低下し,粗繊維,NDF,ADF含量は高くなった。雌穂では,乾物と可溶無窒素物含量は高くなり,繊維成分の含量は低下した。総体では,粗蛋白質と繊維成分の含量は低下し,粗脂肪と可溶無窒素物含量は高くなった。two step法とin vitro法で測定した各部位と総体のDMDは生育が進むにつれて低下した。3)サイレージの消化率は,粗脂肪を除いて,粗蛋白質,粗繊維,およびADFはしだいに低下した。DCP,TDN,およびDE含量は,未乳熟,乳熟,糊熟,および黄熟期でそれぞれ(7.9,7.0,6.1,5.3%)(70.0,72.8,73.1,69.8%)(3.40,3.60,3.50,3.16kcal/gDM)であった。5)窒素出納を調べた結果,熟期の進んだサイレージを給与すると排尿量と尿中に排泄された窒素量が減少し,蛋白質の利用効率が高くなった。
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