日本草地学会誌
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着生部位別にみたオーチャードグラス分げつの生育の季節変化特に母茎葉鞘内における分げつ芽の伸長について
伊東 睦泰中村 民夫
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1974 年 20 巻 2 号 p. 83-91

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抄録

株間25cmのオーチャードグラス草地より時期別に採取した生育良好な茎について,その葉鞘を除去して節位別に分げつの生育状況の季節変化を調べた。1)出穂期には出穂もしくは出穂直前の茎(生殖生長茎),栄養生長を続ける茎(栄養生長茎)ともに大部分の節位において分げつが1〜2mmに抑えられていた。2)一番刈2週間後(5月24日)には上節位のN3〜4分げつが伸びはじめ,母茎の生育に伴なってひきつづき形成される分げつ芽は6月末まで順調に生育したが,出穂期に休眠していた分げつは刈取後も大部分が伸長しなかった。3)7月以降,夏期高温下に上節位にある分げつ芽の伸長生長は抑えられ,下節位の伸長中ないしは休眠分げつの枯死が多くみられた。4)9月中旬には再びN3〜4分げつの伸長が旺盛になり,これらは母茎における新葉の展開にともない下節位へと移行しながら生育を続け,11月下旬にはN8にいたるまで下節位ほど分げつの長さを増した。5)オーチャードグラスにおいても分げつ原基の分化から出現分げつとなるまでの過程で,分げつ芽としての形態を整え母茎の上節位で急伸長を開始する段階で最も環境条件の影響を受け易いとみられ,主としてその結果伸長を開始して出現分げつとなるもの,休眠芽となるものを生じ,出現分げつの枯死と相まって茎数の季節変動が生じるのであろう。

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© 1974 著者
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