日本草地学会誌
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草地型酪農経営の類型別土地利用方式
宮沢 香春
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1975 年 21 巻 2 号 p. 116-123

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抄録
経営諸条件(草地規模,乳牛頭数規模,労働力)に対応した草地利用,収益性への影響を明らかにするため与件変化線型計画法(Parametric linear programing method)を用いて規範的分析を行なった。調査対象は,北海道宗谷支庁管内のうち経営土地面積が大きく,ここ数年の乳牛頭数増加率の著しい豊富町を選定した。計画モデルの経営類型を雇用労働力利用型,自家労働力利用型,機械組合利用型に分け,草地利用は12の類型〔I1〜3サイレージ-乾草-乾草(青刈・放牧);II1〜4サイレージ-乾草(放牧);III1〜3乾草;IV1〜2放牧(青刈)〕を設定し,草地規模別の最適な草地利用について,経営面積15ha,20ha,30ha,40ha,家族労働力2.0人,2.5人,3.0人の各々について算出しつぎの結果を得た。1.労働力と労働手段装備条件を一定とすれば,草地面積の拡大に伴い草地利用は粗放化し,ha当り牧草利用収量(栄養量:Fu,D.T.P)は逓減する。さらに,自家労働力利用型では労働力によって集約化の限界がある。したがって,雇用労働力利用型よりもha当り牧草利用収量が低く,草地規模による逓減率が大きいことを示している。2.草地面積と労働手段装備条件を一定とすれば,労働力の増加に伴い草地利用は集約化し,ha当り牧草利用収量は若干の増加傾向を示す。3.以上のことから,1人当りに対する草地面積が大きくなるに従い,草地利用はI型(集約的草地利用)からIV型(粗放的草地利用)へ移行する。したがって,乳牛1頭当り牧草給与量(利用生草量)を一定とすれば,草地面積の拡大に伴い,乳牛飼養頭数規模は相対的に減少する。4.これらの結果から,3類型について家族労働力2人の場合の最大草地面積は,雇用労働力利用型では草地面積40.0ha(乳牛65頭,農業所得600万円),自家労働力利用型では20.0ha(35頭,340万円),機械組合利用型では30.0ha(45頭,400万円)と推定された。以上の結論は,前提として飼料自給率一定,現行技術体系を採用した場合の結果であり,飼料自給率の変化,改善技術体系を導入した場合の検討が今後の課題として残されている。
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© 1975 著者
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