日本草地学会誌
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暖地傾斜地の草生改良に関する研究 : 第12報 ペレット種子の発芽定着条件
矢野 明
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1976 年 22 巻 2 号 p. 99-103

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抄録
鶏糞と牛糞を用い,イタリアンライグラス種子のペレットを造り,その寿命や播種床の条件について,2〜3の実験を行なった。ペレット種子の実用的な寿命は,常温の貯蔵条件下では,製造後約6ヵ月であると認めた。土,落葉,腐植を播種床としたポッと試験では,ペレット種子の発芽,初期生育ともに,土が他の播種床より優れていた。また落葉,腐植など粗大有機物は,充分に水分を供給する必要があった。木箱に土を詰めて,人工降雨装置の下におき,土面の傾斜度と降雨量とペレット種子の発芽定着の関係をしらべた。ペレットの崩壊と,それにともなう発芽種子数は,平坦な土面より傾斜面がまさり,また1時間当りの降雨量は,30mmより10mmの場合がすぐれた。現地実証試験の結果は,地表の落葉や腐植の層を取り除き,ペレット種子が土に密着するように播くか,これらを除かずに播いた場合は,播種後レーキかけをすることが,種子の発芽定着および初期生育の促進上,実用的手法であると認めた。
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© 1976 著者
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