日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
Print ISSN : 0447-5933
ISSN-L : 0447-5933
ルーピンの生育ならびに化学成分組成におよぼす根粒着生の影響
吉田 重方
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1976 年 22 巻 2 号 p. 110-115

詳細
抄録
マメ科植物の着生根粒の機能を明らかにすることを目的として,種々の窒素施与条件下でルーピンの根粒着生植物と根粒非着生植物とを育て,着生根粒の窒素固定効果,飼料成分組成に対する根粒着生ならびに窒素施与の影響等を調べた。得られた結果は次のとおりである。1.根粒の着生に伴ないルーピンの生草重,植物体全窒素量および植物体各部位の全窒素含量が増加し,さらに着生根粒による窒素固効果は標準窒素区で最も高かった。2.飼料成分の組成は根粒の着生によって変動し,根粒着生植物は同一の窒素施与条件にある根粒非着生植物に比べて粗タンパク質含量,粗繊維含量が高く,これに対して可溶性無窒素物含量は低かった。しかしながら,植物体の生育量や全窒素量の等しい根粒着生植物と根粒非着生植物とのあいだでは上記の関係は明確でなかった。3.したがって,根粒の着生に伴なう飼料成分組成の変動についてみれば,その原因は根粒の着生現象自体,あるいは窒素固定以外の機能によるものでなく,根粒の窒素固定にあると考えられ,窒素固定に伴う粗タンパク質含量の増加が2次的に上記現象を引き起こす要因となっているものと推察された。
著者関連情報
© 1976 著者
前の記事 次の記事
feedback
Top