日本草地学会誌
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寒地型イネ科牧草の季節別の化学成分と消化率および栄養価の関係
石栗 敏機
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1977 年 23 巻 3 号 p. 247-251

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抄録
既報の寒地型イネ科牧草(生草)71点とオーチャードグラス乾草30点を用いて生育した季節別に化学成分と消化率および栄養価の関係を調べた。1.粗蛋白質では生草,乾草ともに季節をとわずその消化率と可消化量にすべて有意な正の相関があった。粗繊維では生草の春を除いた他の生草および乾草で含有率とその消化率との間には有意な相関がなかった。しかし,可溶無窒素物では,各季節をこみにした全体と夏で含有率とその消化率との間には有意な正の相関が得られた。2.TDN含有率に対して各季節共通して有意な相関を示す一般成分はなかった。また,乾草,生草ともに夏で粗繊維含有率とは相関係数が正で非常に低く,TDN含有率の推定は困難と考えた。3.炭水化物の消化率と繊維質成分との間には夏においては有意な相関がなかった。また,生草ではADLおよびADL+ケイ酸含有率と各季節ともに有意な負の相関を示した。4.生草のCWとCCの消化率,可消化量および不消化量と化学成分との関係では季節別に異なる関係が得られ,夏期間の再生草ではCWの物理的な面をある程度推定可能な成分の検討が重要と考えた。
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© 1977 著者
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