抄録
根釧地方における牧草の凍害と雪腐病害の発生を確認するために,1974年秋〜1975年春に除雪および防除処理により越冬条件をコントロールし,翌春の冬枯れ状態を調査した。その結果,1)根雪後,積雪区の地表温度は0〜-5℃であったが,除雪区では-15〜-20℃まで冷却された。2)早春の冬枯れ程度はいずれの越冬処理においても,Pr>Or>Mf,Tf>Tiの順に高く,草種間差が明らかであった。Pr,Or,Mfについては寒冷なカナダで育成された品種は他品種よりも明らかに耐凍性が優った。3)越冬中の枯死株は,除雪条件では凍害によって増大し,積雪条件では雪腐病害によって増大した。4)以上のことから,当地方で発生するイネ科牧草の冬枯れは寡雪年では凍害,多雪年では雪腐病害の可能性が大きかった。