日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
Print ISSN : 0447-5933
ISSN-L : 0447-5933
石灰成分がサイロ壁部サイレージの化学的品質に及ぼす影響
住吉 正次
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1978 年 24 巻 1 号 p. 64-70

詳細
抄録

水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムは,サイレージの有機酸を中和する性質を持っており,これらはコンクリート製サイロの材料中にも含まれている。本報ではサイロ壁に石灰成分が存在する場合に,このことが壁部サイレージの化学品質に及ぼす影響を検討した。(1)内壁がコンクリート(セメントモルタル)で造られたサイロの高水分サイレージの品質は,壁部のものが中央部より劣っていたが,内壁が強化プラスチック(FRP)で造られたサイロでは,コンクリートサイロでみられた傾向はなかった。(2)壁面が堆肥汚泥で汚染されたプラスチックサイロ(1/2000a・ワグネルポット)に貯蔵した牧草サイレージの品質は,壁部と中央部の差がなく,無処理区と同等であった。(3)壁面を堆肥汚泥で汚染させた後,石灰乳を塗ったサイロに50日間貯蔵した牧草サイレージは,無処理区に比べて壁部,中央部ともにpHが高く,乳酸含量が少なく,酪酸含量が増大していた。(4)サイロ内壁に石灰成分が存在する場合,このことが壁部サイレージの品質を低下させる要因の1つになることを認めた。

著者関連情報
© 1978 著者
前の記事 次の記事
feedback
Top