日本草地学会誌
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数種在来イネ科野草の生態特性と乾物生産 : III.ミヤコザサの冬芽ならびに新地下茎の形成に及ぼす日長の影響
県 和一窪田 文武鎌田 悦男
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1979 年 25 巻 2 号 p. 117-120

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抄録
前2報の結果から,ミヤコザサの地下茎の各節に存在する冬芽数は季節的に変動し,初秋(9月〜10月)に急増するのに対して,新地下茎は6月から8月に増加すること,8月に地上部を刈払うと初秋にみられる冬芽の急増が特異的に抑えられることが明らかになった。そこで,本報では上記現象を解明する研究の第1歩として,冬芽と新地下茎の形成に対する日長の影響について実験した。実験は,冬芽の数が最少値を示す夏(7月1日-7月31日)と急増する初秋(3月13日-10月31日)の時期を選んで行った。両実験とも,ポット栽培した材料を供試し,短日(8.5時間)と長日(15時間)処理を行い,次の結果を得た。すなわち,冬芽の形成は長日条件よりも短日条件下で顕著に促進された。これに対して,新地下茎の形成は短日条件よりも長日条件下で促進される傾向が示された。以上の結果は,第1報で明らかになったミヤコザサ群落の冬芽数及び新地下茎数の季節変化に日長が1つの支配要因として関与していることを示唆するものである。
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© 1979 著者
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