前報の32点のオーチャードグラスを用い,めん羊による自由採食量と化学組成,消化率および可消化量との関連を調べた。2,3才羊に共通して,それぞれの自由採食量と化学成分ではADF,ADL含有率とは負の,粗蛋白質含有率とは正の,消化率では粗蛋白質,炭水化物,CW,乾物,エネルギーで正の,また,可消化量ではDCP,TDN,DE含量は正の,ともに有意な相関係数が得られた。一方,自由採食量=乾物排泄量/乾物の不消化率の関係が認められた。オーチャードグラスの飽食時の乾物排泄量はW^<0.75>当り22g前後で,あまり変動がなく,自由採食量と乾物排泄量との間には有意な関係を認めなかった。このことから,自由採食量は牧草の乾物の不消化率で変化することが考えられた。乾物の不消化率は不消化CW含有率と強い正の関係があることから,自由採食量を左右する要因の一つとして不消化CW含有率もあると思考された。不消化CW含有率と自由採食量,DCP,TDNおよびDE含量とはともに有意な負の相関があり,W^<0.75>当りのDDM,TDNおよびDE摂取量とは,2,3才羊ともに-0.9以上の有意な負の相関係数が得られた。
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